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【ニュース】

参院選前に10億円の借金 歯科医師連盟


 歯科医師の政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連、臼田貞夫会長)が今年初め、7月の参院選に向けて10億円を大手都銀から借り入れていたことが関係者の話や内部文書で分かった。うち約4億4000万円は、98年の参院選で自民党費立て替えなどのために借りた14億円の債務返済に使われ、残りの少なくとも4億円は非拘束名簿式の導入に伴う選挙活動に充てられたという。

 参議院比例区は「金がかかりすぎる」ことを理由に制度が変更されたが、政治団体の資金力がものをいう一端が改めて明らかになった。

 借り入れは、各都道府県の代表らで行われた臨時評議員会で全会一致で決議された。大手都銀から金利1.8%、3年返済の契約で融資を受けた。

 複数の関係者の話などによると、借り入れの目的の一つは、98年の参院選の際に同じ都銀から借りた計14億円の完済。この借り入れ自体、日歯連の会費を充てて3年で返済する計画だったが、政治活動費がかさんだことなどから支払いが遅れていた。このため10億円のうち約4億4000万円を出して完済した。

 98年の選挙は拘束名簿式だった。日歯連は、比例区で擁立した大島慶久氏を自民党の名簿で上位登載させるため、会員に新規党員の獲得を要請。最終的に約24万人分の党費を都道府県の職域支部を通じて自民党に支払ったが、個人で党費を出したのは3万人弱で、大半は日歯連が立て替えたという。大島氏は名簿4位になり当選した。

 一方、今回の参院選は非拘束名簿式が導入され、候補者名で投票してもらう必要が生じた。少なくとも4億円を、全国的な選挙戦展開のために用意した。組織候補の中原爽氏(自民)のポスター代や郵送費、選挙カー費用などに使われたという。

 その結果、中原氏は自民党最下位の20位で当選した。日歯連関係者の中には「政界での歯科医師会の発言力が小さくならないか」と結果に不満を持つ人もいる。半面、地方評議員の中には「借金の連続で、まるで自転車操業。返済には会費が充てられるのだからもっと金の流れをはっきり説明して欲しい」という批判もある。

 日歯連は95年の参院選でも党員集めをし、都銀から16億円を借りて党費を立て替えた。元幹部は「自民党の候補者同士の党員集めが激しく、党費も借入額も次第に膨れあがってしまった」と説明。別の幹部は「いずれは自前の資金だけで選挙を戦うつもりだが、今回の借り入れはそのための経過措置と理解してほしい」と話す。

 日歯連に対し、朝日新聞社は今年の7月以降、数回にわたり取材を申し入れたが、日歯連は17日までに回答していない。

(08/18)